先日、徳島県にある「藍の館」を訪れ、藍染体験してきました。
「藍の館」では予約なしでも藍染体験できますが、藍染するものはハンカチやストールなど用意されているものしかできません。
私物を持ち込んで藍染する場合は予約が必須で、条件は以下の通り(2024年11月3日時点)。
- 電話で要予約(藍の館HPリンク)
- 素材は綿・シルク・麻が可能。
- 金額は重量制、30円/g~、最大500gまで可。
今回、ニューエラの白キャップを藍染したのですが、藍染体験費用は2,450円(85g×30円)。
入館料300円と併せても、計2,750円と格安で藍染体験が出来ました(価格はいずれも税込み)。
藍染に興味がある方はぜひ藍の館へ訪れてほしいので、今回私が藍染体験した様子を綴っておきます。
藍の館で実際に藍染体験した様子どん。
藍の館は、藍染原料の蓼藍(たであい)の名産地である徳島県の藍住町にございます。
アクセスは車が一番便利ですが、今回はJR徳島駅からレンタサイクルで35分ほどかけてやってきました。電動ママチャリで35分ですので、普通のママチャリだと相当ハードですのでご注意あれ。
さて、入館料と藍染体験料金を入口で支払い、藍染体験場へ直行しました。
藍染体験場を入って右側が準備室。カバンを置いて、エプロンとビニール手袋を着用します。
通常、藍染体験は建物入口側で行いますが、当日客で混んでいたおかげか、建物奥の藍染場所を利用できました。しかも、スタッフの方が私についてくれて、マンツーマンで藍染体験できました。ラッキー。
藍の館では「天然灰汁発酵建て」という方法で藍染液を作っており、化学薬品を一切使用しない古来の方法を現在でも行ってます。尚、藍染液を作ることを「藍建て」と言います。
藍建ての方法を超簡単に言うと、蓼藍を発酵・熟成させ作られた染料の蒅(すくも)に、灰汁・日本酒・石灰・ふすま(小麦の皮)を加えて、すくもに含まれる菌を活性化させます。すると、すくもから青い色素のインディゴが藍染液に溶けだし、藍染液が完成するそうです。
昔の人はどうやってこの工程を考え出したんだと、大変感心させられます。
ちなみに、藍建て職人によって使用する日本酒は違うそうで、職人よりも藍染液の方が良質な日本酒を飲んでるやん!なんて冗談を言ったりするんだとか。おもしろいですな。
さて、レッツ藍染。今回の藍染液はこちら。藍染液が入った甕(かめ)は腰ほどの高さしかないように思いましたが、甕の下半分は地面に埋まっており、高さは全長で140㎝ほどあるそう。
甕を地面に入れることで地熱を利用し、藍染液内の菌が最も働く温度に保つことができるんですって。ちゃんと考えられてますな、すごい!
藍染の方法は、染め物(今回はニューエラキャップ)を藍染液に浸ける→絞る→空気に触れさせる、を何度か繰り返します。
藍染液に浸けるだけでは発色せず、染料が空気に触れ酸化することでようやく発色します(藍染液はアルカリ性、pH10-11とのこと)。
藍染液に浸ける回数や時間を調節して、自分好みの色合いに仕立てます。今回は濃い藍色にしたかったので、藍染液に浸ける時間3分×5セットを行いました。
ちなみに、藍染液の状態を確認する方法の一つとして、藍染液に浮く固形物、通称「藍の華」を見るんですって。ちょっと赤みがかっていたら、藍染液の状態が良いのだとか。
あと、藍染液は藍染液内の青い色素(インディゴ)がなくなるまで使用できますが、藍建てして2~3か月経てば、インディゴがなくなるそう。
藍染液はなぜそんなに短命?とスタッフさんに聞くと、原料のすくもに含まれるインディゴの割合は全体のわずか約3%と、めっちゃ少ないからなんですって。
インディゴがなくなった藍染液の一部は、土壌改良のために畑などに撒かれるそう。循環システムがしっかり構築されてますな。
さて、藍染が終わったかと思いきや、「別の甕でもう一度だけ漬けて、さらに濃く染めましょう!」とスタッフさんに提案頂き、最後の藍染を行うことに。
藍建てして間もない藍染液らしく、先ほどの藍染液より濃厚な気がするぞ。
状態もGREAT!最後にキャップを3分漬けて搾り、空気に触れさせて藍染終了。
藍染したニューエラキャップがこちら。パーフェクト!
甕のフタに置いてパシャリ。最後にスタッフさんがキャップを水で藍染液を洗い流してくれました。至れり尽くせり。ありがとうございます。
ちなみに、キャップは乾燥が間に合わないので濡れた状態で受け取り、持って帰って干しました。
ちなみに、最後に一回だけ藍染したこの場所は、な、な、なんと…
現在の天皇皇后両陛下が2007年に藍染体験をなさった場所だったんです!(当時は皇太子同妃両殿下)
今では、藍の館のスタッフさんのパワースポットになっているそう。
日本の伝統染色技術の藍染を、天皇皇后両陛下が行われた場所で体験できました。とても貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。
今回の藍染体験でお世話になったスタッフさんは藍染の知識がとても豊富で、つい質問しすぎてしまいました。それでも、丁寧に答えてくれ大変勉強になりました。
次は刺繍用の布を染めてみたいな。その時もどうぞよろしくお願いします。
おまけ
受付横の藍染布缶バッチのガチャガチャしたかったですが、小銭がなかったので出来ませんでした。ご来館の際は、100円硬貨を用意しておきましょう。ではでは。
✓藍の館(Google Map)