28歳で痛風になった話

あの日の朝、目覚めて立ち上がった瞬間、足首に妙な違和感があった。「昨日どっかでくじいたかな?」くらいの軽い気持ち。まぁそのうち治るやろ、ぐらいのテンションで一日を始めた。
しかし、運命は静かに足元から迫っていた。夜の7時ごろになると”ズキ…ズキ…ズキ…”あれ?なんかめっちゃ痛い。歩くたびに足首の奥から鼓動みたいな痛みが湧き上がる。もはや“くじいた”じゃなくて、“呪われた”感覚。

そして時は5月1日。世間はゴールデンウィークに突入し世間はワクワク、私の足はズキズキ。トイレを行くにもケンケンをしないと行けないほどの痛さ。痛みは悪化するばかりで、翌日病院へ。
診察室で医師が私の足を触って一言「痛風ですね」
え、28歳で?心の中で軽く抗議したけど、尿酸値は正直だった。

病院を出て近所のコンビニへ寄った。お会計のとき、ミャンマー出身っぽい店員さんが私の歩き方を見て「荷物持チマショウカ?」と荷物を車まで運んでくれた。その優しさにじんわり感謝。
と同時に、28歳の健康盛り(のはず)がコンビニで手を借りるこの情けなさが、心にグサグサと突き刺さった。

GWは結局、痛みに耐えつつプリン体の少ないレシピを検索して過ごした。冷やす氷は常備、足首は常にうずく、心は常にしょんぼり。
そして迎えたGW明け。会社に出勤し、同僚に「実は…痛風になりまして」と告げると、他部署の先輩社員が笑顔で近づいてきた。そして無言で右手を差し出し、力強く握手。
「ようこそ」と一言。痛風界では28歳はゴールデンルーキーらしい。多額の契約金がほしい気持ちをグッとこらえてニッコリやりすごした。

あれからもう5年、この5年間は痛風を発症していない。ガンやったらすでに寛解やけど、痛風ってどうなん?
そういいながら、プリン体との戦いは今も続いている。

2025-08-10 by
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