ピエロ力

ついに懐がスッカラカンになったので、先日バイトに応募したときの話。話がトントンと進み、面接も終わり結果発表は後日電話で受け取ることに。
そして数日が経ち、掃除しているときにスマホがプルプル鳴った。
「先日の面接の結果ですが…無事採用となりました。」
「あー、はい。ありがとうございます。」
その後はいつから働くかなどの話をして、その電話は終了。そのあと、トイレで立ち小便している時に、ふと思った。
「さっきの電話の結果発表の時、おれの反応めっちゃ冷たかったな。ちゃんとリアクションしたほうがよかったな。」
思い返せば、先方は「面接の結果ですが…無事採用となりました。」の「…」で1秒ほどためてから結果発表してきた。
あの感じから、先方の脳内では「…」の1秒間は間違いなくドラムロールが鳴ってた。きちんと文章にするなら、
「面接の結果ですが、ドゥルルルルルルル…ドン!無事採用となりました!!」
である。「無事採用となりました!!」と言ったときに、ちょっと語気を強めていたのも十分伝わっていた。
だが、私としては人不足で応募をかけている求人やから、正直落ちるわけがないと思ってたので、「…」のときに「ためんと早よ言わんかい。」と心でツッコんでた。やから、結果発表の反応がめっちゃ冷たくなってしまった。
もし、私が逆に採用担当で結果発表の時にめっちゃ冷たい反応をされたら「なんやこいつ、愛想悪いな。やっぱ採用やめたろか。」くらいに思うかもしれない。
そこはやりたくないと思っていてもピエロになりきり、「えー!ほんまですか!ありがとうございます!めっちゃうれしいです!マンモスうれぴー♡」くらい、大げさに反応しても良かったのではないか。
よくよく考えれば、サラリーマンだって上司のしょうもない話に「めっちゃおもろいやないですか!よっ!課長!」とゴマがなくなるくらいスリスリするし、キャバ嬢だっておっさんのしょうもない話に「さすがです♡すてきですね♡」と愛想よく反応してくれる。
なんなら、どこぞの通販なんかは社長の話に「社長♡すごーい!すっごーい!」と、なにかヤッてるのではないかと思うくらいに愛想よく反応しているではないか。
それが自らの報酬のためと言えば元も子もないが、みんなすばらしいピエロである。というより、もはやこの世界はピエロで成り立っていると言っても過言ではない。
社会のなかで誰もが自我をむき出しにして、あるがままで過ごしていたらバラバラになるわけで、そこにはある程度ピエロになる必要がある。
だから、ピエロが出来る人や楽しめる人はサラリーマンやキャバ嬢を続けられるわけで、それが出来ないから私はサラリーマンに向いてないのかもしれない。
もはや人々は仕事なんか頑張らずに適度にサボって、AIに代替できる部分は全任せ。あとは「ピエロ力」だけ鍛えたら何とか生きていけそうだ。
よし、まずは採用担当に「この間はありがとうございました!結果発表めっちゃすてきでした!すごーい!すっごーい!よっ!採用担当!」と、一発ピエロをかましてみよ。
あなたの「ピエロ力」はどれくらいですか?










