昨年末、藍染を体験してから他の染め方にも興味が湧いてきたので、今回は第一弾。
紅茶と麦茶のダブルティー染めを行いました。これがまあおもろいこと。
職人の熟練技術が必要な藍染とは違い、紅茶染めはティーパックを使えばだれでも簡単に染めることができるのがいいところ。
というわけで、私が今回染めを行った様子を記し、染めに興味あるけど今一歩踏み出せない方の背中をそーっと押せれば幸いです。
用意したもの
- 綿100%のキャップ & 刺し子糸
- 紅茶ティーパック 5個 & 麦茶ティーパック 1個
- 家にある大きい鍋 1つ
- 成分無調整豆乳 1パック
- 焼きミョウバン 1袋 (スーパーの漬物液売り場付近にあります)
ティーパック染めの流れ
- 染め物にタンパク処理を行い、水で洗わずよく絞り乾燥させる
- 2Lのお湯でティーパックを煮出し、染液をつくる
- 染め物を染める
- 色止め作業をして乾燥させて完成
簡単に書くとこんなかんじ。よく分かんないので、写真とともに流れを見ていきましょう。
1.染め物にタンパク処理を行い、水で洗わずよく絞り乾燥させる
今回の染め物は、綿100%のキャップ。
裏面はこんなかんじ。
セカンドストリートで330円。こいつを変身させます。
もうひとつは綿100%の刺し子糸。以上2つの染め物にタンパク処理を行います。
「タンパク処理ってなんやねん!」と思った方、以下をご参照ください。
今回のティーパックや草木などに含まれる植物由来の天然色素の多くは、タンパク質にくっつきやすい性質*を持ってるそうです。シルクやウール等の動物繊維にはタンパク質が含まれますが、綿や麻などの植物繊維にはタンパク質が含まれていないので、濃く染めるのが大変です。
そこで、タンパク質が含まれる液を植物繊維に沁み込ませ、染色しやすくする下準備を「タンパク処理」と言います。動物繊維の場合はタンパク処理は不要です。
家で簡単にできるタンパク処理は、豆乳や牛乳を水と1:1で割った液体に、植物繊維の染め物を浸けて乾燥させる方法です。
*色々ググると、植物由来の天然色素の多くはアニオン(陰イオン)、タンパク質はカチオン(陽イオン)のため、お互いが引かれあうことで染まりやすいという理論だそう。ただ私自身確証がないのでもっと勉強します。
今回はキッコーマンのおいしい無調整豆乳を使って、タンパク処理を行いました。牛乳でタンパク処理したことがある知人曰く、干してるときのニオイが臭いとのこと。なので、これからもやめておきます。
豆乳:水=1:1で割った液にキャップと刺し子糸を入れます。
ムラなくタンパク質が染みこむようもみもみして、30分以上放置します。その後、水で洗わず染め物を絞り、通気性のいいところで乾燥させます。
室内だと豆乳のニオイがするので、豆乳好きの変態以外はおススメしません。
タンパク処理して乾燥したキャップと刺し子糸。
刺し子糸は乾麺くらいパリパリです。ま、染めれば柔らかくなるのでご安心を。
2. 2Lのお湯でティーパックを煮出し、染液をつくる
今回は染液を紅茶と麦茶のティーパックで煮出して作りました。まず紅茶から。
2Lの水に紅茶のティーパック5個入れて15分煮出しました。ちょっと色薄いですね。
ちょっと味見。薄味でおいしいです。
染液の色を濃くするために、麦茶のティーパックを1つ追加しました。
さらに15分煮出し、私の好きな色になりました。では、レッツ染め染め。
3.染め物を染める
今回は染めを3回行いました:染め20分→水洗いし脱水→染め2時間→水洗いし脱水→染め20分→水洗いし脱水。
まず、染めムラ防止のため、水でキャップと刺し子糸を濡らしてから染めます。
染め1回目。染液に入れたら、均一に染まるようお箸でキャップの空気を抜くよう押します。
尚、1回目は弱火で染液を冷まさぬようにして染めてみました。
染めが終わったら、水で洗い流して水気を絞ります。
パッと見ええかんじですが、染めムラがありますね。
後ろ。
刺し子糸はすでにいいかんじ。
染め2回目。2回目は染液をコンロから外し、鍋蓋で染め物を押さえて2時間放置しました。
2時間後、水洗いして水気を絞りました。
徐々に色が濃くなってきました。
後ろ側。
刺し子糸は相変わらずいいかんじ。
染め3回目。染液がほとんどなくなってきました。
そこで、染め物をひたすらもみもみして20分染めました。
3回目染め終了。水で洗って水気を絞ります。
3回も染めると愛着が湧きますな。
後ろ側は縫い目部分がやや白いですね。
あなたはあまり変わらんね。けどええかんじね。では、色止めしていきます。
4.色止め作業をして乾燥させて完成
染め物は染めただけだと色落ちしやすいので、染料を繊維に定着させる=色止めする必要があり、その工程を媒染と言います。媒染にはアルミニウム、鉄、銅を用いることが多いそうで、今回は簡単なアルミニウムによる媒染を行いました。
アルミニウム媒染の方法は、焼きミョウバンを染め物重量の5%分用意し、50℃~60℃のお湯で溶かし、染め物を30分浸けるだけです。この液体を媒染液と言います。
今回の染め物重量は96gだったので、焼きミョウバン量は96g×6%=5.76g → 6gにしました。
ミョウバン量はきっちり量りましょう。
焼きミョウバンをお湯で溶かして、媒染液を作ります。まず、沸騰したお湯と焼きミョウバンを大きい容器に入れます。この方が焼きミョウバンが溶けやすいです。
まぜまぜして焼きミョウバンを溶かします。
そして、お湯と同量やや少なめの水を入れて50℃~60℃にします。
媒染液に染め物を入れて、30分放置します。
30分後、染め物をしっかり水洗いし水気を絞ります。
通気性のいい場所で乾燥させます。その後、豆乳のニオイが気になったので、ボディソープでゴシゴシ洗ってニオイをとりました。
完成品がこちら。乾燥させると染めている時よりも色が薄くなりますね。
紅茶と麦茶で染めたのに、出来あがりはミルクリッチのカフェオレ感。
縫い目部分はやや白っぽい。これを”ムラ”ととらえるか、”アジ”ととらえるかはその人の感性次第。
刺し子糸はこんなかんじ。糸を縛ってから染めればこんなにぐちゃぐちゃにならんかったのに。
最後に
1回目の染めにしては、なかなか上出来ではないかなと思ってます。また、自分で染めを行うことで物に愛着が湧くので、結果的に物を大切にする効果がありそうです。どこか大量生産大量消費へのアンチテーゼを感じます。
今後もいろんなもので染めを行ってみたいですが、染めを上達するためにも化学を勉強する必要があると感じました。
さて、勉強しますか。Chat GPTさんよろしく。