「みかんの皮からどうやったら色素を抽出できるんや」と調べていると、
アルコールによるみかん皮色素の抽出方法、という特許資料を発見。
>>柑橘類由来脂溶性色素成分の抽出方法(外部リンク)
めっっっっっちゃ簡潔に言うと、
①90%以上の高濃度アルコールを使い、
②加熱なしで2時間常温でまぜまぜし、
③アルコールを蒸発させ残ったペーストを冷凍乾燥後、粉末化する。
この3ステップで上質なみかん色素が抽出できるとか。
というのも、みかんの皮に含まれる色素は油やアルコールに溶けやすい性質(脂溶性)が多いから。
……。
でも再現はめんどくさいし、90%以上のアルコールがない。
「ほな、60%の泡盛(花酒)にみかんの皮を漬け込んだらええやん」
と思いついたので、早速実験してみました。結果はいかがでしょうかね。
今回の実験を振り返るぞ。
説明するほどではないですが、念のため条件等を書いておきます。
今回用意したもの
- 乾燥したみかんの皮 4g×2
- 花酒 40ml
- 水 40ml
- 綿100%の布切れ 2枚
実験方法
- 乾燥したみかんの皮を細かくちぎる。
- 1を花酒と水に入れ、一晩放置。
- 2の液体に、それぞれ布切れを入れて4時間放置。
- 3を水で洗い乾燥させて染まり具合を比較。
写真で実験を振り返るどん。
今回の主役、崎元酒造所の花酒さん。
花酒は与那国島だけで作られるアルコール度数60%の泡盛です。
度数は強いけど、甘くてちびちび飲めちゃうんですね。
100mlの内、ちょっと残ってたので実験に使うことに。ありがとう。
>>与那国島の埋葬(土葬)に欠かせない花酒の詳細は崎元酒造所のHPでご確認を。
花酒の残量、40mlですね。
なんとなく、花酒:乾燥したみかんの皮=10:1にしました。
というわけで、乾燥したみかんの皮は4g。
細かくちぎって…
直接ビンのなかにダイブ!
一方、水+乾燥したみかんの皮チームは小さいグラスにラップをして抽出。
一晩経ちました。見づらいので皮を取り除いてみましょう。
左が花酒、右が水です。
花酒と水の両方で、常温でみかんの皮を浸けておけば色素抽出はできますね。
けどあれあれ、大差ないぞ。
まあともかく、綿100%の布切れをそれぞれ浸けていきましょう。
今回は布切れに濃染処理など一切していません。
ちゃぽん。しっかり染まるんやぞ。と、4時間放置します。
放置後、水で洗って乾燥させた布がこちら。
ん?水出しの方が濃く染まってますやん。
見やすいように白紙の上で見てみても、結果は変わりませんな。
では、まとめ。
今回の結果と考察
- 花酒+乾燥したみかんの皮だけで色素抽出は出来るが、そのまま染めるのはNG。
- アルコール度数90%以上の液体でみかんの皮の色素抽出→アルコール蒸発がやはり必須かと。
- *乾燥したみかんの皮を水につけて色素抽出→染色は新たな可能性。
資料からヒントを得て、手を動かしただけで簡単に再現できると思ったら大間違いですな。
これやから染めはおもろいんでしょうな。えへへ。
*次回は水で乾燥したみかんの皮から色素抽出し、もっと大きい布を染めてみます。乞うご期待。
おまけ
今回使用した花酒とお水はまぜまぜして、
スタッフが美味しくいただきました。ごちそうさまでした。
ちなみに、みかんの皮に含まれる色素成分のひとつであるβ-クリプトキサンチンは、**骨粗しょう症や美肌効果があるんだとか。
また、みかんの皮を乾燥させたものは***陳皮(ちんぴ)といって、漢方で使われてるんですって。知らんかったぞ。
なので、これからはお酒に自家製ちんぴを浸けて色素抽出し、ちびちび飲んでいこうかなと。
>>参考HP:わかさの秘密 **β-クリプトキサンチン、***陳皮